by Harashita Sunaoshi

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1970年代から90年代にかけて、シュリ・チンモイは色々なテレビ番組に出演したのですが、その時ベジタリアンの食生活について聞かれ、答えています(ビデオのリンクをご覧になってみてください。字幕付きです)。今でこそ欧米圏でベジタリアンはたくさんいるし普通のことです。日本でもまだまだ少ないながら、ベジタリアンやヴィーガンの食スタイルを知る人も多くなってきています。でもインタビュー当時ベジタリアンはもっと珍しく、好奇心や疑問を持った人も多く、同時に新しいアプローチを知りたいという空気が司会者の様子から伺えます。

シュリ・チンモイ自身は12歳の時からずっとベジタリアンの生活を送り、肉魚類を絶ってきました。居住していたニューヨークのクイーンズに「アナン・ブラーマ(食は神)」という生徒が経営するベジタリアン・レストランもあります。ベジタリアンの生活を送るのは、精神性を重んじた生活の助けになるからだと述べています。肉には落ち着きのなさや攻撃性など、動物的な資質が含まれており、食物として体に入れるとそのような動物的資質も自分の中に入ってきます。瞑想などを通して自分の中に平和や落ち着きや静けさを育もうとしているのに、同時にそのようなものを口にしたのでは助けにならない、ということでしょう。もちろんアルコール類やドラッグ類も心を平静に落ち着いたものにする助けにはなりません。反対に野菜の持つやさしい性質は穏やかな性質を育もうとしている人の助けになります。

でも、ベジタリアンになっただけで落ち着きや静けさを得られるわけではありません。瞑想や祈りを通して自分の中の平静や静けさを増やしていこうとしている場合、ベジタリアンの食生活は大きな助けになるということです。

ここでは私の個人的体験も交えながら、ベジタリアンのライフスタイルを送っていくことについて書いていこうと思います。

 

BEJITARIAN SHOKUJIジタリアンになったきっかけ

ベジタリアン(菜食)の生活をもう13-14年ほど送っています。卵・乳製品はいただきますが、肉・魚・海鮮類は食べません。以前は肉も魚も大好きで、生まれ育ったのが海に近かったため、何かあると新鮮な刺身やお寿司でお祝いするのが普通で、たらふく食べていたように思います。アメリカやニュージーランドに住んでいる時は当然肉食の文化に触れることが多く、色々な肉料理を大量に食べていた時期もありました。

でも面白いことにベジタリアンという選択肢を紹介してくれたのもアメリカやニュージーランドの知り合いでした。肉を食べる人は日本人とは比較にならないくらい大量に食べるけど、いろんな理由でベジタリアンの人もまたたくさんいます。その人たちにご飯に呼ばれたり、一緒にベジタリアン料理を食べに行ったりして親しんできました。優しくて美味しい味、というのがその頃ベジタリアン料理を味わった印象です。でも完全にベジタリアンになるわけではなく、機会があったらトライする程度でした。

15年ほど前、ニュージーランドのワイヘケ島というところに住んで、仕事場のあるオークランドにフェリーで40分かけて通勤していました。神々の恵みに満ちているような強烈な美しさに囲まれた毎日、ベジタリアンや自家栽培をする人たちと何人も知り合い、自分の食生活も自然と植物性のものが多くなっていきました。なんだかその方が体も心も調子がいい、自然の流れに沿っているという感覚になったのです。また、以前は大酒飲みだったのですが、だんだん飲まない方が気分がいいことがわかってきて、ノンアルコールで行くようになってきました。

 

ベジタリアンの効用

しばらくしてオークランドのシュリ・チンモイ センターの主催する瞑想ワークショップに通い始め、野菜の持つやさしい性質が瞑想をする生活の助けになると知り、きちんとベジタリアンの食生活をすることにしました。落ち着きのなさや攻撃性など、動物的な意識を持った肉を体内に入れるのは静けさや穏やかさを育もうとする助けにならないそうなのです。もちろん普通に生活していたら気付かない違いかもしれませんが、瞑想を真面目に行っていきたい場合影響するものだそうです。

ワイヘケ島でのベジタリアン生活への移行はスムーズでした。というのも、もともと先ほど書いたようにベジタリアンになる方向へ食生活が変化していたし、島にはベジタリアンの友人も何人もいて、自家菜園から野菜をおすそ分けしてもらったり、植物性のタンパク質をどう料理に取り入れるか(特に豆類)を教えてもらったりという機会が結構あったからです。レストランにもベジタリアン用のメニューが最低1つはあるので食べるものにも困りませんでした。

それから1年も経たないうちに、仕事の関係で日本に帰国することになりました。日本でもベジタリアンの生活ってしていけるのかな?とちょっと不安になりましたが、やってみると思ったよりできています。以来、ずっとベジタリアンの食生活をしています。自分的には気に入っています。ここでは日本でベジタリアンの生活を送る場合よく遭遇すること、対処法など、個人的経験からですが、少しお話ししたいと思います。

 

ベジタリアンの社会生活

日本は世界的に見てもベジタリアンが比較的過ごしにくい国の一つではないかと思います。なぜなら、既製品の多くに動物性のものがミックスされているからです。例えば普通のポテトチップスにも原材料名を見るとチキンエキスやビーフエキスが入っています。具はわかめと豆腐でも、味噌汁の出汁にはカツオを使っています。ニュージーランドやアメリカではなぜもっとやりやすいかというと、植物性のものには植物性の原材料しか使っていないことが多いのです。ベジタリアン始めいろいろな食生活をする人が住んでいるからかもしれません。

それから、日本では「付き合い」がとても大切です。みんなが刺身を食べているのに自分だけ食べなかったり違うものを注文するのは気がひける、と思われる方も少なくないでしょう。家族みんなでの夕食の時、自分だけ違うものを用意する(してもらう)のは悪い、面倒だ、ということもあるかと思います。でも、毎日の瞑想と一緒ですが、これも「やってみよう」という意志があれば全てどうにかなっていくものです。

私の場合、ニュージーランドから帰国する前に実家の親に「ベジタリアンになったから、お刺身は用意しなくていいよ」と頼んだのですが、最初こそ戸惑った母も、煮物を椎茸や昆布ダシで取って作ってくれたりするうちに「そういえば昔はこういうものを食べていた。」と言うようになり、あまり抵抗なく食事を用意してくれるようになりました。親の愛は本当にありがたいです。

新しい職場でも、歓迎会や研修旅行などがあったのですが、これも最初からベジタリアンである旨を言っておきました。すると驚いたことに、レストランや宿泊先のシェフがベジタリアン料理を用意してくださったのです。海外経験が長い同僚が多い職場だったというのも幸いしていたと思います。それが普通の料理より豪華に盛り付けてあったので、かえって皆に羨ましがられたりしました。

 

京都は海外からの観光客が多いだけあって、ベジタリアンへの心遣いのある店が比較的多いかもしれません。去年アメリカのドキュメンタリー映画製作チームの通訳として京都の街をついて回ったのですが、スタッフにも一人ベジタリアンがおり、ご飯に入ったレストランに、ベジタリアン対応料理を英語で記載したメニューが置いてあったり、ウエイトレスが英語で簡単に説明してくれたりと、感心してしまいました。100円寿司のお店でもそうでした! 京都は東京よりこういう対応に慣れていて進んでいるのじゃないかな、とさえ感じました。

 

ベジタリアンの料理

もともと料理は好きだったのですが、ベジタリアンになって気づいたのは、今までの意識を変える必要があるということでした。それができたらベジタリアンの料理を作るのがとても簡単になりました。どうするのかというと、野菜を脇役から主役にするのです。そして主役にできる野菜(&卵と乳製品)からたんぱく質(プロテイン)を十分に取れるように工夫するということです。

アメリカやニュージーランドには中国系の人が経営する中華料理の店、タイ系の人が経営するタイ料理店などがたくさんあります。そのどこでもベジタリアン・オプションがありました。どうするのかというと、例えば肉野菜炒めだったら、肉の代わりに厚揚げを乱切りにしたものを使うのです。タイグリーンカレーも同じです。結構美味しいんです。台湾系中華料理だったら、大豆ミートを使った料理もたくさんあります。

それをヒントに、前より厚揚げなど豆腐製品をよく使うようになりました。時間があるときは、小豆バーガーを作ったりもしました。海外で親しまれている豆の料理もたくさんします。(最近は日本でも缶詰で買える豆が増えてきて嬉しいです。)豆をサラダにトッピングしたり、豆を野菜とスープに入れてボリュームを出したり。私が特に好きなのはレッドキドニーというインゲン豆と、豆料理ではひよこ豆を使って作る中東料理のフムスです。フムスは大好きでクラッカーに塗ったり、野菜スティックに付けたりして食べます。

お肉や魚を避けるので、何か食べるものが狭まってしまうのかな、と思っていましたが、反対にクリエイティブに食材を使ったり、新しいものを探すことができて楽しいです。ある意味前よりレパートリーが広がった気さえします。大豆ミートを使った肉やベジソーセージ、ベジツナなども時々使います。

 

ベジタリアンの買い食い&外食

最近忙しくて、前より料理に時間をかけられません。そうなると強い味方がコンビニやスーパーのお惣菜ですが、ベジタリアンは何を買ったらいいのでしょうか。これも慣れてくるとそんなに悪くないと思います。おにぎり(梅・昆布・高菜・赤飯)、寿司(かんぴょう、かっぱ、納豆、玉子など)、各種サラダ、ゆで卵、枝豆、チーズ、野菜やウズラ玉子の天ぷら、ヨーグルトなど結構選択肢はありますし、デザート関係は大体オーケーです。各種ナッツも心強い味方です。

でも確かに買えるものは前より限られるので、食べることのできる新しい製品に出会うととってもワクワクします。例えばセブンイレブンで売っているレトルトの野菜カレーはありがたいです。日本で売っている製品は「野菜の」と銘打っていても原材料名を見ると動物性のものが入っていることがすごく多い中、これは大丈夫!しかもお手頃価格。無印良品にも何品かベジタリアンのカレーがありますよね。

ベジタリアンというと、ちょっとおしゃれなレストランでこだわりの野菜料理を提供しているところが多いようです。たまに食べるならそれも素敵だけれど、毎日のことなので、やっぱり安くて美味しいものが助かります。個人的にはそんなに凝らなくていいので普通のものがありがたいです。

ベジタリアンレストランではなく、普通のレストランに行く場合、ベジタリアンに優しいお店はイタリアンとインド料理でしょうか。イタリアンではマルガリータピザなど、何種類かチョイスがありますし、インドにはベジタリアンが多いので、少なくともダール(豆のカレー)と野菜カレーがあることが多いです。でも他のお店でも丁寧に対応してくださるところも最近は多いです。例えば天ぷら盛り合わせで、エビを抜いて野菜を増やしてもらうとか、チャーハンにチャーシューの代わりに卵を使ってもらうなどです。

毎日の通勤時はやっぱりお弁当が多いです。経済的で栄養もバランスが取れているし、ベジタリアンであってもなくてもお弁当はすごくいいですよね。

2020年のオリンピックには海外の方がたくさん来日されると思うのですが、その中にはベジタリアンもたくさんいることと思います。その方たちが食べるものを安心して見つけられるように、日本の製品も必要なければ動物性のものを含まないものがもっと増えてくれることを祈ってます。

 

ベジタリアンで健康は保てるの

栄養や力をつけるには肉を食べろ、魚を食べろ、と言われて私たちは育ってきました。ベジタリアンになってしまって健康を害したりはしないの? 弱くなったり栄養不足になったりするのでは? と周りから言われたこともありました。でもたんぱく質を十分に摂るなど栄養のバランスを考えれば心配無用だと思います。実際、トップアスリートの中でもベジタリアンの食生活をする人は増えています。私自身も、ベジタリアンになってからフルマラソンを初めて走りました。前よりも活動的に動いていると思います。もちろん瞑想との相乗効果なのですが、ベジタリアンが栄養不足になるというのはないと、実体験から思います。

ここ京都の比叡山延暦寺では、千年以上も前から伝わる「千日回峰行」tがあります。希望して許可を受けた天台宗の行者さまが7年かけて比叡山中をお参りして周り年間100または200日、1日30 キロから80キロを歩き続けます。その途中には「堂入り」と呼ばれる不眠・不休・絶食の9日間も入っています。つい最近も戦後14人目の方が千日回峰行約4万キロを無事終えられました。この行の最中、行者さま(終わられて阿闍梨さま)はやはり菜食の生活をされています。強靭な体力と精神力(そしてもちろん仏様のご加護)があってこそ満行できるのではないでしょうか。

 

ベジタリアンレストラン スジャータ

仕事のない時にちょっとスジャータのレストランを手伝わせてもらったり、ふらっとチャイを飲みに行ったりするのですが、ここにいらしてくれるお客様は本当に色々な方がいます。近場では、京大の先生や職員、学生の方がお手頃価格で野菜がたくさん食べられる、とやって来られます。その他にも観光で京都に来られている外国からのベジタリアンのお客様がたくさん来られます。ベジタリアンの食事を提供するところが少ないので、タクシー会社やツアーガイドの方が「やっと見つかった」とホッとして入ってこられる時もあります。インド人のお客様がスジャータの作ったカレーを「美味しい!」と満足して食べていかれるのを見ると、すごいなあと思ってしまいます。アメリカやニュージーランドで日本人じゃない人が作った寿司や和食を食べて、「なんか違う」と思った経験が何回もあるので、なおさらです。日本人でインド人の口に合うカレーを作れるなんて。

台湾にもベジタリアンは多いようで、特に五葷と言われるにんにくやネギ類を避けるベジタリアンが多いようです。これにも随時対応させていただいています。その他にも欧米のベジタリアンのお客様は色々な国から来られます。一度アメリカ人夫婦が赤ちゃんを連れてやって来られ、二人ともフルマラソン・ランナーでありネットでランニングのコーチ業をしていると言っていました。今回は旦那さんの方が東京マラソンに出場するのにやってきて、その後京都に観光にやってきたそうです。2人共ヴィーガンで、たくさん走るので食欲も旺盛なのだけど、ヴィーガン対応でしかも盛りのいいレストランがなかなか見つからず困っていたのでここを見つけて嬉しい!と2日連続で通ってくださいました。シアトル在住なので、シアトルにあるベジタリアン・レストランSilence-Heart-Nestにも時々食べに行くそうです。嬉しい出会いでした。

 

京都瞑想ワークショップでは、ベジタリアンの食生活をどうやって始めたらいいのか、どんなメニューがあるのか、参加者の方にご紹介しています。また、ワークショップには参加できないけれど、ベジタリアンの食事に興味のある方、レストラン スジャータに一度いらしてみてくださいね。ベジタリアンのメニューや料理の仕方について、オーナーのスジャータに何でも聞いてください。