ranningu to meisouby Harashita Sunaoshi

私の通っていた高校は歴史が古く元男子校のバンカラ気質で、ちょっと変わった伝統が幾つかありました。その1つが毎年秋に修学旅行の代わりに行われる「歩く会」で、コースが確か3つあり(3年間で全部経験できる)、最初の約50kmを全校生徒でペースを合わせて歩き、地元の学校か何かで仮眠させてもらい、最後の約25kmは自由、走る人あり、歩く人あり、といったものでした。私は早くはなかったものの、3年とも25kmを歩かず完走しました。疲労の中にも何か清々しい達成感があって、良かったです。

成人してから長距離走に馴染んだのはニュージーランドに住んでいる時で、アウトドア王国のニュージーでは5-10kmくらいのファンランがしょっ中行われ(喘息や乳がんのためのチャリティーランなどが多かった)何度か地元の友人と参加しました。コース沿いのカフェでブランチを取るお客さんが熱心に声援を送ってくれたり、とてもフレンドリーで楽しい雰囲気でした。なんと言っても思い出深いのは、火山でできたランギトト島でのファンラン。平日5時過ぎにオークランド埠頭を出発するフェリーに参加者が乗り込み(フェリー内でスーツからランニングウェアに着替える人も何人もいました)、島に乗り付けたところから各々出発。コースは平坦だけど長いものから山頂を通る険しいコースまで何種類かあり、最長10kmくらいだったと思います。島の反対側のゴールに着くとバーベキューが用意してあり、まず冷たい海に飛び込みひと泳ぎして体を冷やしてから仲間とご相伴に預かりました。楽しかったなあ!

というわけで長距離ランとはそう縁遠くなかったのですが、瞑想を始めてシュリ・チンモイがスポーツ、特にランニングが好きで教え子にも推奨しているということを知りました。なんでも呼吸が瞑想と共通するところがあるらしく、瞑想を通じて行う内的な旅inner runningと、走るouter runningとは相補うものであり、両方がお互いの助けになるとのこと。もともと嫌いではなかったけれど、ではちゃんと毎日走ってみるか、と朝瞑想の後走りに行くようになり(ちなみに今は鴨川沿いがお気に入りのコースです)、2006年には初のフルマラソンに挑戦、5時間26分で完走。それ以降、毎年走っています。外反など足の問題があったりあまり真面目にトレーニングしないのでタイムはベストでも4時間56分なのだけど、内的には変えがたい経験を毎回させてもらい、貴重な機会をいただいていると感じています。

今年も8月末にニューヨークでセルフトランセンデンス マラソンを走ったのですが、気持ち的にはこれまでで最高でした。「今、ここ」の美しさ、ありがたさを一歩一歩自分全体で感じながら進みました。シュリ・チンモイの言葉に、「私たちは永遠の今を生きている」というのがあるけれど、それをまさに実感することができた数時間でした。会場のロックランド・レイク州立公園の自然の美しさも全身に染み渡りました!

でもシュリチンモイ・マラソンチームが開催する大会にはフルマラソンよりずっと距離の長いものもたくさんあり、なんと言ってもその最高峰はセルフトランセンデンス3100マイルレースでしょう。毎年6月から8月にかけて、ニューヨーク、クリーンズの学校の周りを走る900mほどの周回コースを使って行われ、3100マイル(5000キロ弱)を52日間で完走する、というものです。毎年参加ランナーは主催者の審査に通った10-15名ほどで、単純に割り算すると1日フルマラソンを2回強毎日走り続けないと終わりません。これまで21回行われたレースでの完走者は41名(うち女性8名)です(同じ人が何回も完走したケースも多いです。13回完走したランナーもいます!)

このレースを初めて耳にしてから数年は、はっきり言ってすごすぎてあまりピンときませんでした。でもこの数年は身体的なものとスピリチュアルなものとのつながり、体力だけでは説明できない人間の可能性、いろいろなことを思い、毎年レースが始まるとPerfection Journeyというブログで毎日アップされるビデオや写真をチェックするようになりました。見ていてまず気づくのが、みんなの笑顔です。満ち足りた感じがします。走りながら瞑想している、と言います。

でも楽なはずはありません。ランニングの実際的なエピソードもいろいろ出てきます。ビックリなのは、1回のレースで何十足もランニングシューズを履きつぶすこと。さらに、長く走って足が敏感になり、まめや水ぶくれを最小限に抑えるため、シューズのいろいろなところをハサミで切ってしまうんです。例えばつま先が当たるエリア、靴の内側に付いているラベルなど。コースは朝6時から夜中12時まで開いていて、その間とにかく走り続けることが距離を稼ぐコツだそうで、休憩の取り方は人それぞれだけど、日に2-3回、一回20-30 分程度を仮眠とマッサージ、テーピングの張り替えなどに使うという話を何人かがしていました。すごいカロリーを消費するので、1日10000カロリー摂る必要があり、体重が落ち過ぎるのをいかに止めるかが課題の1つとか。でも1度に食べると走れなくなってしまうので、カップに入れたフードやドリンクを歩きながら摂ることが多いようです。

もちろんこのように長期間・超長距離レースを運営するにはスタッフのチームワークが肝要です。1人1人に合わせたメニューで対応する炊き出しチーム、ランナーの体調や感情の起伏を細かく気遣い対応策を提供し続けるレース幹事チーム、マッサージやカイロプラクティック、看護士などのメディカルチーム、などなど。

こういう話を読むたびに「なんてすごいんだろう!」と思っていましたが、今回ラッキーなことに、その完走者の1人、オランダのプラディープ・ホウガッカーさんが仕事で来日することになりました。初来日で、せっかくなので京都に来たい、という意向で、それならぜひ、スペシャル・トークしてください!とお願いして今回のイベントが実現することになりました。当日はレース中の写真のスライドショーをしてくださるとのこと。どんなお話が聞けるのか、本当に楽しみなんです。日本人の参加ランナーはまだいないせいか、国内ではまだあまり知られていないレースですが、ランナーやスポーツをする方も、しない方も、インスピレーションをもらうこと確実です。ぜひ聴きにいらしてください!